クマの修正手術③脂肪注入の入れすぎに関して

クマ治療で脂肪注入を入れすぎたら?膨らみすぎの原因と修正方法を外科専門医が解説

クマ治療の修正には、脂肪の取り残しや取りすぎ、脂肪注入の入れすぎや凹凸、切開による傷跡など、さまざまなケースがあります。

本記事ではその中でも、「脂肪注入の入れすぎ」によって起こる膨らみの修正について、外科専門医・医学博士・医師歴16年目の村山医師が、これまでの豊富な症例経験をもとに解説いたします。

MJクリニック札幌_村山健二医師監修

監修:MJクリニック札幌院長 村山健二医師

外科専門医/医学博士/クマ治療症例数2000件以上/医師歴16年以上/元湘南美容クリニック院長歴任

 

 

脂肪注入が広く普及した背景と注意点

脂肪注入は、クマ治療において目の下からゴルゴ線にかけてのボリューム不足を改善する方法として、広く行われている治療です。

2010年代に大手美容外科を中心に普及が進み、2026年現在では多くのクリニックで導入されています。自分自身の脂肪を使用するためアレルギー反応の心配がなく、定着した脂肪は半永久的に残ることから、好んで行われています。

ただし、この「半永久的に残る」という特性は、裏を返せば修正が難しいという意味でもあります。近年、脂肪注入後の仕上がりに関する修正相談が増えてきています。

 

脂肪注入の基本的な仕組み

脂肪注入とは、自身の太ももや腹部などから採取した脂肪を、ボリュームを補いたい部位に注入する治療です。自己組織であるため異物反応のリスクが低く、一部の脂肪が生着することで長期的なボリューム改善が期待できます。

また、脂肪に含まれる細胞成分による肌質改善効果も期待され、美肌目的で応用されることもあります。

 

脂肪注入の種類

脂肪注入には大きく分けて2つの方法があります。

採取した脂肪をある程度の大きさのまま使用する「コンデンスリッチファット(CRF)」は、深い層に注入する方法で用いられることが多く、ボリューム補正に適しています。

一方で、脂肪を細かく加工した「ナノリッチファット(NRF)」は、よりなめらかで凹凸になりにくく、皮膚が薄い部位に適した製剤です。目の下のように繊細な部位では、NRFが選択されることが多くなっています。

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生着率と仕上がりの考え方

脂肪注入は、注入したすべてが残るわけではなく、時間の経過とともに一部が吸収されます。一般的には生着しない脂肪は半年ほどかけて減っていき、最終的に半分程度が生着するケースが多いとされています。

注入した脂肪細胞が生き残るという論理ですが、注入する脂肪は、採取された瞬間から血流が途絶えて酸素などの栄養が枯渇している状態になっています。正常組織に注入された注入脂肪は、周囲の正常組織から漿液などを介して酸素などの栄養素をおすそ分けしてもらい、なんとか生きながらえます。周囲の細胞からのおすそ分けだけでは長期的には生き残るのが難しくなってくるのですが、時間経過とともに毛細血管が発達してきて、一部の細胞は血管から直に栄養を取り込めるようになっていきます。そのようにして、生着するという状態になります。そのため、注入量が増えれば増えるほど、正常組織との接触面積が減り、栄養が枯渇して大量の脂肪細胞死を招くことがあります。大量の脂肪細胞死は、カプセル化反応が起こり、オイルシスト(oil cyst)という状態になることもあります。

生着率には個人差があり、想定より多く残る場合もあれば、ほとんど残らないケースもあります。重要なのは、「入れた量以上に増えることはない」という点です。

 

 

なぜ「入れすぎ」が起こるのか

脂肪注入の入れすぎに悩む女性

今回の主題である脂肪注入の入れすぎについてです。

脂肪は一定量が減少することを前提とするため、医師によっては最終的な仕上がりを見越して、やや多めに注入することがあります。

この考え方自体は合理的ではあるものの、予想よりも脂肪が減らなかった場合には、結果として「膨らみすぎた状態」になることがあります。これが、脂肪注入における典型的な修正相談のひとつです。

 

 

入れすぎた場合の修正方法

膨らみが強い場合には、ボリュームを減らす治療が必要になります。主な選択肢としては、①脂肪溶解注射、②ヒアルロン酸分解酵素、③ステロイド系治療、④外科的摘出術

などが挙げられます。

 

脂肪細胞として生着している場合には、脂肪溶解注射によってある程度の改善が期待できます。ただし、注入された脂肪がすべて脂肪として残るわけではなく、瘢痕組織として硬く残るケースもあります。

このような場合には、脂肪溶解注射の効果は限定的となり、瘢痕組織を柔らかくする目的でヒアルロン酸分解酵素を使用したり、瘢痕組織を縮小させる目的でステロイド治療を行うことがあります。

ただし、これらの治療にはそれぞれ注意点もあります。ヒアルロン酸分解酵素にはアレルギー反応のリスクがあり、ステロイドは皮膚が薄くなる、毛細血管が目立つといった副作用の可能性があります。そのため、いずれも過度に繰り返すことは推奨されません。

一定の回数で改善が得られた場合には、無理に理想を追いすぎず、その時点で治療を終了する判断も重要です。

 

外科的摘出という選択

皮膚科的治療で十分な改善が得られない場合には、外科的に脂肪を取り除く方法が選択肢になってきます。

ただし、この方法は適応の見極めが非常に重要です。注入脂肪が塊として触知でき、境界が明瞭で、かつ目立たない部位から比較的短い距離でアプローチできる場合に安全に行えます。

一方で、境界が不明瞭な場合や広範囲に分布している場合には、かえって不自然なくぼみを生じるリスクがあるため、慎重な判断が必要です。

 

 

失敗を防ぐために最も重要なこと

脂肪注入の入れすぎを防ぐうえで最も重要なのは、やはり医師選びです。

カウンセリング時に「どの程度の量を注入するのか」「どのような考え方で量を決めているのか」を確認することで、その医師の方針が見えてきます。

減るのを見越して多めに入れるタイプなのか、それとも修正の難しさを踏まえて控えめに行い二期的な調整も視野にいれて施術をするタイプなのか。この違いは、結果に大きく影響します。

 

MJクリニック札幌 村山医師のご紹介

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MJクリニック札幌の村山健二医師は、外科専門医・医学博士の資格を有する医師歴16年目の美容外科医です。

大学病院で消化器外科・乳腺外科・麻酔科など幅広い分野を経験し、外科医としての基礎を築いたのち、大手美容外科で院長を歴任。クマ治療を中心に多数の症例を手がけてきました。

また、一つのクリニックに長期間在籍しているため、術後の長期経過まで責任を持って診療している点も大きな特徴です。脂肪注入においても、生着のばらつきや凹凸といったリスクを踏まえたうえで、過不足のない注入量を見極めることを重視しています。

さらに、他院修正や難易度の高い症例にも数多く対応しており、「入れすぎ」「凹凸」「しこり」など脂肪注入特有のトラブルにも精通しています。

脂肪注入は仕上がりの調整が難しく、やり直しが簡単ではない治療だからこそ、こうした経験値の積み重ねが結果に直結します。

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よくある質問

脂肪注入のあとに膨らみすぎと感じているが、いつ頃から治療したほうがいいですか?

脂肪注入のあとに膨らみすぎているという状態の場合、まず半年ほどは減る方向に変化しますので、まず半年経過をみることをおすすめいたします。しかし、ふくらみすぎの度合いが強い場合には、早期に治療介入したほうが治療効果がより出やすいことが期待できるため早々に減らす治療を開始したほうが好ましいです。

せっかく治療をしたのに、思ったより減ってしまうのも不安です。

物足らない場合には追加でヒアルロン酸治療を行ったり、2回目の脂肪注入を行うことも可能です。修正の困難さを考えると、少し控え目くらい目標にしたほうが安全です。

 

 

まとめ

脂肪注入は、クマ治療において非常に有効な選択肢である一方、その仕上がりは医師の判断に大きく左右される繊細な治療です。

入れすぎによる膨らみは修正が可能ではあるものの、簡単ではありません。だからこそ、初回の治療段階から慎重な判断が求められます。

現在の仕上がりに不安を感じている方は、無理に我慢せず、経験豊富な医師に相談することが大切です。本記事が、その一助となれば幸いです。